壊れた物。

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小さな頃、自分には傷ついた物を癒す力があると思っていた。

者、じゃなくて、物。
壊れた物はかわいそうで、救ってあげたかった。
ほつれたぬいぐるみも、割れたお皿も、動かなくなったおもちゃのロボットも、
かわいそうで、それを見るだけで泣いていた。
壊れるのが嫌だから欲しくない、とも思っていた。
そういう感覚は今でもある。

底に残ったロウソクが悲しくて、夜な夜なそれらを集めて一つの塊にしている。
仲間に会えてよかったね、みたいなことを思ってる。
人間相手にはそんなこと思わないけど、ロウソクには思う。
何か小さなどこかの世界を救っている気になっているんだと思う。
指先をやけどしながらロウソクを仲間の元に返してあげる。
それぐらいの力が、他人にも向けられればいいのに。